【SEOの落とし穴】スマホ版だけ情報がスカスカ?良かれと思ってた“簡略化”が順位を下げる理由
はじめに:「スマホだと見にくいから、情報を絞ってあげよう」…その“優しさ”、間違っていませんか?
あなたのサイトは、もちろんスマホ対応済み。PC版のサイドバーにあるごちゃごちゃした情報は非表示にし、長い文章は要点だけを抜き出して、スマホユーザーが見やすいようにスッキリとさせている。
それは、ユーザーの使いやすさを考えた、素晴らしい「優しさ」のように思えます。しかし、SEOの世界においては、その良かれと思ってやった“情報の簡略化”こそが、あなたのサイトの評価を地に落とす、最悪の一手になっているかもしれません。
「え、どうして!?」
この記事では、その衝撃的な理由である「モバイルファーストインデックス」の本当の意味と、多くのサイト運営者が陥る、この悲しい“優しさの罠”について解説します。
結論:Googleは「PC版」をもう見ていない。スマホ版の“情報量”が、あなたのサイトの全て
結論から言えば、現在のGoogleは、あなたのサイトを評価する際にPC版の豪華なページは一切見ずに、スマホ版の簡素なページだけを見て、サイト全体の評価を決定しています。
これを「モバイルファーストインデックス(MFI)」と呼びます。例えるなら、こうです。
- PC版サイト = 店内で食べる、豪華なフルコースメニュー
前菜からデザートまで、詳細な説明と美しい写真付きで、お店の魅力を100%伝えています。 - スマホ版サイト = テイクアウト用の、簡素なチラシメニュー
見やすさを重視するあまり、「人気TOP3」と電話番号しか載っていません。
Googleというグルメ評論家は、もはや店内で食事はしません。彼は、あなたがテイクアウト用に用意した「簡素なチラシメニュー(スマホ版)」だけを見て、「この店は大したことないな。メニューも3つしかないし、こだわりも感じられない」と評価を下してしまうのです。
あなたのサイトは大丈夫?情報を“削って”しまっている、3つの典型的なNG例
良かれと思って、こんな実装をしていませんか?
1. PC版のサイドバーやフッターを、スマホ版では完全に“非表示”にしている
PC版のサイドバーに置いていた「人気記事ランキング」や「関連コンテンツへのリンク」「重要なお知らせ」などを、スマホ版ではCSSの `display: none;` などで完全に消してしまっているケース。これは、Googleに対して「スマホ版には、これらの重要な情報はありません」と宣言しているのと同じです。
2. 長い文章や詳細情報を、アコーディオンで“隠して”いる
「続きを読む」といったボタンをタップしないと表示されないアコーディオンUI。これは、見た目をスッキリさせる上で有効ですが、実装方法によっては、Googleがその隠された部分のコンテンツを「重要度が低い」と判断したり、そもそも認識しなかったりするリスクがあります。
3. PC版にある重要な内部リンクが、スマホ版には“存在しない”
コンテンツだけでなく、内部リンクの数にも差が出ているケースは非常に危険です。PC版からしか辿れないページは、Googleの評価の対象外になる可能性があります。サイトのナビゲーションは、PCとスマホで同等でなければなりません。
【最重要】守るべき、たった一つの大原則
モバイルファーストインデックス時代において、私たちが守るべき大原則は、驚くほどシンプルです。
「PC版で表示している重要なコンテンツやリンクは、必ず、スマホ版でもHTML上に存在させること」
見た目を整えるのは、その後の話です。見せ方の問題と、情報の有無の問題を、決して混同してはいけません。スマホユーザーのために情報を「削る」のではなく、「小さな画面でも、PC版と同じ量の情報を快適に体験できるように、見せ方を工夫する」のが正しいアプローチです。
【実践】自サイトの“情報格差”を確認する方法
自分のサイトにPC版とスマホ版で情報格差がないかを確認するには、Google Search Consoleの機能を使うのが最も確実です。
- Google Search Consoleにログインし、対象のURLを「URL検査」ツールに入力します。
- 右側にある「公開URLをテスト」をクリックし、分析が完了するのを待ちます。
- 結果画面で「スクリーンショット」のタブをクリックします。
ここに表示されるのが、Googleの「スマートフォン用クローラー」が実際に“見ている”あなたのサイトの姿です。この画面に、PC版にはあるはずの情報が表示されていなければ、それはGoogleに認識されていない、ということです。
まとめ:「見やすさ」と「情報量」はトレードオフではない
スマホ対応とは、単にレイアウトを整えることではありません。それは、PC版サイトが持つ全ての価値と情報を、一切損なうことなく、小さな画面のユーザーに届けるための“技術”と“おもてなし”です。
「スマホだから、これで十分だろう」という思い込みが、あなたのサイトの評価を静かに、しかし確実に蝕んでいきます。
PC版とスマホ版で、ユーザーに届ける価値は同じですか?ぜひ、その視点で、もう一度あなたのサイトを見つめ直してみてください。