知らないと順位が消える?SEOの命綱「Canonicalタグ」の正しい使い方と危険なワナ
結論
Canonicalタグは、正しく使えばサイトの評価を守るヒーローですが、設定を間違えると、良かれと思ってやったことが原因で検索順位を破壊するトラブルメーカーにもなります。
このタグの役割は、サイト内にある似たようなページについて「こちらが本物(正規)のページです」とGoogleに正式な届け出を出すこと。いわば、Webページの“戸籍謄本”のようなものです。この届け出を間違えると、Googleに「このサイトは存在しない」「全てコピーページだ」と誤解され、検索結果から姿を消してしまう危険性があります。
そもそもCanonicalタグって何?
Canonical(カノニカル)タグは、検索エンジンに「複数の似たページが存在するけど、評価してほしい“大元”のページはこれですよ」と伝えるための特別なHTMLタグです。
例えば、ECサイトではよく以下のようなURLが自動で生成されます。これらは内容は同じでもURLが違うため、何もしないとGoogleからの評価が分散してしまいます。
https://example.com/item/t-shirt (Tシャツの通常ページ)
https://example.com/item/t-shirt?color=red (赤色のTシャツページ)
こんな時、「Tシャツの通常ページ」を“本籍地”として届け出るのがCanonicalタグの役目です。
この一行をページの裏側(
タグ内)に書いておくだけで、Googleは「なるほど、色違いのページも評価は全部こっちにまとめれば良いんだね」と理解し、ページの評価を一つに集約してくれます。絶対に避けたい!よくあるCanonical設定の致命的ミス
- 全ページに「社長室はこちら」と案内するミス
→ すべてのページにトップページをCanonical指定する設定。Googleに「このサイトのページは、全部社長室のコピーだね」と誤解され、個別のページが検索結果から消える最悪の事態に。 - 住所を微妙に間違えるミス(www有無やスラッシュ)
→https://www.example.com
とhttps://example.com
はGoogleにとっては別の住所。本籍地として届け出るURLの表記が揺れていると、評価が正しく集約されません。 - 引っ越し前の住所を届け出るミス(リダイレクトとの矛盾)
→ 古いページから新しいページへ301リダイレクト(転送設定)しているのに、Canonicalタグは古いページを指している状態。Googleが「どっちが本当の住所なの?」と混乱します。 - 届け出た本籍地が“空き地”だったミス(404やnoindex)
→ Canonicalで指定した正規URLが、実は削除済み(404)だったり、「検索しないでください(noindex)」という設定になっていたりするケース。評価の行き場がなくなり、すべてが消滅します。
コードで見る!正しい例とダメな例
実際にあった怖い失敗事例
あるECサイトでは、ページネーション(商品一覧の2ページ目、3ページ目…)のすべてに、誤ってトップページをCanonical指定。その結果、2ページ目以降の商品がごっそり検索結果から消え、サイトへの流入が激減しました。
また、WordPressのプラグイン設定ミスで、サイト全体がSSL化(https)されているにも関わらず、Canonicalタグだけが古い「http://〜」のURLを出力。Search Consoleには「重複コンテンツ」のアラートが大量発生し、順位が不安定になるという事例もありました。
【上級者向け】他のタグとの合わせ技で注意すべき点
- AMPページ:分身(AMPページ)から、必ず本体(PC/スマホの通常ページ)へCanonicalを向けます。逆にしてはいけません。
- 多言語サイト(hreflang):日本語ページは自分自身を、英語ページも自分自身をCanonicalで指定するのが基本。お互いの存在はhreflangで教え合います。
- 動的URL:絞り込み検索などでURLにパラメータが付くページは、重複コンテンツの温床。Canonicalで「これが基本形です」としっかり指定することが重要です。
サイトの健康診断!Canonical設定チェックリスト
チェック項目 | 確認のポイント(こんな風になってない?) |
---|---|
住所は省略せず書いてる? | https:// から始まる完全なURL(絶対パス)になっているか? |
各ページは自分を指してる? | 正規ページは、自分自身のURLを「私が本物です」と指定しているか? |
住所の書き方は統一されてる? | wwwの有無、httpとhttps、末尾のスラッシュ有無などが全ページで統一されているか? |
届け出た住所は実在する? | Canonicalで指定したURLが404エラーやnoindex設定になっていないか? |
Googleに受理されている? | Search Consoleで「ユーザー指定の正規URL」と「Googleが選択した正規URL」が一致しているか? |
Search Consoleで「受理されているか」を確認する方法
Google Search Consoleの「URL検査」に確認したいページのURLを入力すると、Googleからの“通知表”を見ることができます。
この中の「ユーザーが指定した正規URL」と「Googleが選択した正規URL」が食い違っている場合、Googleがあなたの届け出を受理していない証拠です。Canonicalタグの設定や、ページの内容が本当に重複していないか、再確認が必要です。
まとめ:Canonicalはサイトの“身元保証”
Canonicalタグは、サイトの評価を正しくGoogleに伝えるための、非常に重要な“身元保証書”です。これを正しく設定すれば、評価の分散を防ぎ、サイト全体のSEOパフォーマンスを安定させてくれます。
しかし、設定ミスや放置は、意図せず「このサイトは信頼できません」という届け出をGoogleに出してしまうようなもの。インデックス削除、順位低下といった致命的なダメージを招きかねません。
まずはSearch Consoleを使って、あなたのサイトの“戸籍”が正しく届け出られているかを確認するところから始めましょう。地味ですが、この一手間があなたのサイトを大きなリスクから守ります。